【2024.11.17更新】
正誤表は逐次、また調査後記、報告書に載せきらなかった話題を少しずつご覧いただきたいと思います。
皆様からのご意見等も下記よりお待ちいたします。専門、専門外にかかわらず、忌憚なくお聞かせください。
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第一章 調査の契機と経過
第二章 中村(中町)の周辺環境
第三章 中町の街並みと歴史的建造物
第四章 浄楽寺略史 ―浄楽寺及び大西家所蔵史料から― 【正誤表】>>
第五章 建造物
第六章 仏像と仏画について 仏像 【正誤表】>>
第七章 宝物・什器
第八章 浄楽寺釈迦石仏
第九章 浄楽寺所蔵史料について
第十章 浄楽寺本堂再建費用について
特別寄稿 浄楽寺の建築彫刻から見えるもの
コラム1 浄楽寺の瓦について 【正誤表】>>
コラム2 多武峰旧妙楽寺の遺構について
コラム3 浄楽寺の建築意匠について
コラム4 大和棟について
私たちが生まれ育った中村は、大和三山の一、耳成山の北麓に位置し、豊かな自然と悠久の歴史に囲まれています。その中心に位置する浄楽寺は、私たちにとって幼いころから親しみのあるお寺であると同時に、本堂が多武峯妙楽寺輪蔵の移築と伝わるなど、歴史ロマンに満ちた存在でもあります。
令和五年二月、浄楽寺本堂と門が国の登録有形文化財に登録されたことを機に、専門の方々に浄楽寺に残された史料や建造物などを調査していただきました。その成果が本書となります。
江戸時代宝暦年間、浄楽寺が本願寺から正式に寺号を認可されたこと、また明治初期に村民有志が多武峰から輪蔵の部材を買い求め、苦心の結果それを浄楽寺本堂として再建した過程が詳しくわかりました。また浄楽寺門前の釈迦石像は、浄楽寺の前身である「常楽寺」の本尊であったことも明らかになりました。
本書が今後、橿原市や奈良県の歴史研究に資することを期待申し上げるとともに、関係各位には厚く御礼申し上げます。
令和六年九月吉日
浄楽寺檀家惣代 大西 甚吾
行政や大学の手に依らず地方寺院とその檀家が独自に資料調査を行い、報告書を出版するという事業は、視野を全国に広げてもほとんど例はないだろう。当初、調査のオファーがあった時点において編者が若干躊躇したのは、正直にいえばこの点に尽きる。しかし戸惑いながらも調査委員会を組織し、他の調査員たちと現地調査を幾度も繰り返す中で、編者は浄楽寺が有する芳醇な地域史の魅力に徐々に惹かれていった。
もとより地方寺院の調査は史跡もしくは重要文化財クラスの寺院に偏在し、われわれ自身にとってより身近な存在である村落内寺院の本格的な調査が行われることはほとんどない。しかし実際に資料群の調査・解析に入ると、編者は中世から近代にかけて村落の人々が信仰に捧げた情熱を、直接肌で感じることとなった。その熱量に促されるまま走り続け、多くの方のご協力を得てまとめ上げたのが本書である。
一見地味な存在に見えるかもしれないが、本書は地域住民たちが自らの歴史を自らの手で解明した貴重な記念碑であり、またその学術的な価値もきわめて高いものと自負する。
本書を上梓するにあたり、絶えずご援助・ご協力をいただいた浄楽寺ご住職・近藤正暢師、ならびに檀家惣代の大西甚吾氏に深く感謝の意を表します。また企画から発行まで超タイトなスケジュールにも関わらず玉稿を寄せていただいた調査員各位にも御礼申し上げ、本書の結びとさせていただきます。
令和六年九月吉日
編集代表 山川 均
稻上 文子
小林 誠司
鈴木 喜博 (奈良国立博物館名誉館員)
徳本 雅代 (EI建築設計事務所)
鳴海 祥博(文化財建造物修理主任技術者)
西山 真由美(有限会社ワーク文化財調査室)
二宮 章 (有限会社ワーク文化財調査室)
山川 均 (有限会社ワーク文化財調査室)
国指定文化財等データベース 登録有形文化財(建造物) 浄楽寺本堂>>
解説文:耳成山北方の農村集落中央に所在する浄土真宗寺院の本堂。入母屋造平入本瓦葺、向拝を付し、正面側三方に縁を巡らす外陣、左右余間を配す内陣からなる後門形式平面。多武峰妙楽寺輪蔵の部材を購入して建て、礎盤等は転用が明らか。神仏分離の時代を物語る。
国指定文化財等データベース 登録有形文化財(建造物) 浄楽寺門>>
解説文: 境内東辺の通りに開く浄土真宗寺院の薬医門で、位置を本堂軸線から少し南にずらす。本瓦葺、一軒疎垂木、五平の本柱間に冠木を架け女梁で支持する男梁で控え柱と繋ぐ。木鼻や蟇股の絵様は伝統的で質実な造形。集落中央に位置し本堂と共に歴史的景観を形成。
文化遺産オンライン 浄楽寺本堂>>
大和多武峰妙楽寺>>
奈良県橿原市 浄楽寺総合報告書
2024年9月28日 発行
編 集 山川 均(有限会社ワーク)
発行者 浄楽寺檀家惣代 大西甚吾
印刷・製本 株式会社明新
2024.11.14 廃仏毀釈で購入・移築の明細書 奈良の浄楽寺、進物の金平糖も>>
2024.10.11 文化財の寺、地元住民が報告書「地域のシンボル語り継ぐ」 奈良>>
重要文化財 園城寺一切経蔵(経堂)の輪蔵と一切経>>
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