登録文化財調査でまず最初に行うのが棟札探しです。
多くは上棟式に施主や施工者、棟梁などの名前や日付が記されています。見慣れたシンプルな棟札の場合はいいのですが、ときには難解な墨書札にも出会います。
建物の経歴書として一番たよりになる「棟札」には、建て主や施工者などが記され、ときには建設時のあれこれがかいま見ることができます。この本は、そうした棟札の読みかた見かたの入門書です。
多くは実例をあげ、分類し、これから新しく見つかる棟札の手引書となっています。わくわくしますね。
明治時代の棟札の例 その表と裏
注意:棟札は貴重なものです。なるべくならその場で写真記録を撮ってそのままにしておきましょう。どうしてもとりはずさないといけないときは、必ず元に戻すことをわすれないでください。
また判読可能ならむやみに拭き清めると大事な墨書がみえなくなってしまうこともあるので気をつけてください。もちろんよごれた手でさわってはいけません。上棟への思い、祈りがつまっていますから。ちなみに見えずらい棟札は赤外線撮影、または文化財関連の施設に持ち込むことで赤外線撮影し判読が叶うことがありますのであきらめないでトライしてみてください。
また普段目にしない小屋裏には、御幣や稲わらのたばなど地域の風習によりさまざまなものがあげられています。大事に取り扱い、これらも元の位置をかえないようにしましょう。
改修工事に際しては、あらたな記録として古い棟札に控える位置に札をあげておきましょう。50年、100年後にこの記録をみるひとのために。
天井裏の文化史―棟札は語る 佐藤 正彦 講談社 1995-02 by G-Tools |