耐震診断員として
1995年の震災後も多くの古い木造住宅が神戸には残っています。被災市として、特に中古住宅の耐震補強に力を入れている神戸市で、多くの耐震診断と耐震改修の設計・監理をしてきました。(2007~神戸市耐震診断員)
比較的小規模な住宅の多い神戸市では、比較的簡易な耐震の診断方法で補強設計を行うことができました。
土壁の家 一般診断精算法(達人診断)の例
ただ、奈良県に多い古民家や町家などの伝統構法による建物の耐震診断には「限界耐力計算法」が適しており、奈良県の伝統建築のよさを大事に安全な家にするために、そうした新しい診断方法も取り入れています。
いずれも耐震補強だけでなく、限られた空間でのより快適なリフォームになるよう、お風呂や洗面、キッチンといった主に水廻りのリニューアルで多くの方に喜んでいただいています。
西宮市で被災した建築士として、奈良県の木造住宅の安全性アップにもお役に立てばと思っています。県や市町の耐震診断や耐震工事の補助金も上手に使うこともおすすめします。
例えば、奈良県に多い瓦葺きの入母屋民家などには、伝統構法に適した耐震診断と補強計画が必要です。(2012年~橿原市の精密診断補助金利用で古民家の診断と補強計画を実施)
ヘリテージマネージャーとして
私は講習会を経て兵庫県のヘリテージマネージャー(歴史文化遺産活用推進員)に登録して活動しています。奈良県でもそうした経験を生かして、県下の登録文化財の8箇所についても関わってきました。
2006旧六十八銀行八木支店/2009河合家住宅/2009河合源七郎家住宅/2010奈良県立畝傍高等学校/2016岡本家住宅/2021旧大鳥家/2023浄楽寺/2023瑞穂酢(大西家住宅)
今井町をはじめ、奈良盆地には多くの歴史的な建物が今も現役で奈良の風土を支えています。案外当たり前に思われていますが、世界的にも日本全国を見渡しても、これらは貴重な財産といえ、奈良県人の誇りです。
2009年には「奈良県近代和風調査」、また2012年には「奈良県近代化遺産調査」にも参加し、橿原市だけでなく、隣市町高取や田原本、桜井などにも興味深くまた文化財的に貴重な建物の数々を調査する機会がありました。
おそるべし奈良の建築文化がそこにはありました。大和八木を起点にこうした奈良の歴史的な財産を大事にしていけたらと思っています。
景観サポーターとして(兵庫県景観形成推進員)
兵庫県の景観形成等推進活動助成により、西宮市の景観まちづくり課と協働しました。景観生活西宮編>>
■西宮市都市景観形成建築物(指定)の中でサポートした建物
西口昌利邸(船坂 2011)
旧山本家住宅(山本清記念財団会館)(2011)
濱甲子園倶楽部会館(浜甲子園安心コミュニティプラザ)(2011)
松山大学温山記念会館(旧新田長次郎邸)(2013)
浦邸(2019)
今津六角堂(2021)
■兵庫県景観形成重要建造物(指定)の中でサポートした建物
東多田夢勝庵(2020)
六角堂(2021)
水車新田大利家住宅(2021)
景観形成重要建造物等のうち民間所有のものについては、修景等を行う場合に、
県が公益財団法人兵庫県まちづくり技術センターと連携して実施している「景観形
成支援事業」により、設計費や工事費等の一部を助成(助成率1/3、助成限度額
330 万円(樹木については限度額 30 万円))しています。(兵庫県)
の 調査や保全計画などに携わることができ、文化財登録だけでは維持が大変な建物の修理に景観支援の補助金をご利用いただけ、喜んでいただきました。橿原市の 歴史的な建造物の景観調査もゆっくりですが進めています。古い町並みを活かして町がよくなることを楽しみにしています。
古民家再生専門員として(兵庫県)
古民家の維持・活用のための調査と設計提案を行っています。奈良県に多く残る古い民家や町家の今後を心配されている方に、多様な可能性をご提案しています。
2009五右衛門風呂のある茅葺き民家/2010船坂の茅葺き民家喫茶)/2014粟鹿の茅葺き民家(アトリエ&ライブハウス)/2015「水車新田」の歴史を残す江戸末期の町家(水車ギャラリー)/2016阪神間山手の和館(音楽館構想)/2017北摂の庄屋屋敷(地域の歴史館構想)/2018昭和初期の「学生下宿」/2019宮大工が作った数寄屋+洋館+土蔵/2020奥但馬の茅葺き民家(絶景活かす憩いの拠点)/2020景観地区の江戸町家(助けを必要とする人のための施設)/2023丹波の旧庄屋(民泊+サロン+みんなの居場所)
奈良県特有の民家をよく知る目で、耐震性はもちろん、快適な暮らしの提案ができたらと思っています。
2016年竣工した古民家再生では、空き家がライブステージ&音響アトリエに生まれ変わりました。(兵庫県朝来市)>>合同会社 ムジカノート