ヤマトシロアリ 畳下から上敷きの間でごそごそと・・・。(;.;)
シロアリの種類
現在日本で被害をもたらしている、おもなシロアリの種類は、土木両生息型イエシロアリ(家白蟻)とヤマトシロアリ(大和白蟻)、そして木部生息型のアメリカ-カンザイシロアリといわれています(日本で約20種、一番被害の多いのはイエシロアリ)。
元来湿潤な日本では、こうした虫害発生は「自然との共生」との観点で言えばごく自然なことで、柱や梁を露出した伝統構法の場合には、その被害にすぐに気がつくことで、家屋への被害を最小限にしてきた歴史があります。が、柱・梁が見えないボード張りの大壁工法など、虫害を受けやすい「木組み」部分が仕上げ材で覆われ、その中で進む虫害に気がつかないために、気がついたときには甚大な被害(建物の倒壊につながる構造部材への被害)にあってしまっていたということが起きています。
温暖化もまた虫害被害の広がりに影響していることも確かでしょう。
民家や町家のリフォームに取り組むときにはこうした「虫害調査」は欠かせませんし、また、新築においてもシロアリ対策には細心の注意を払わなければなりません。が、相手が「シロアリ」と生きものなので、単純な対策では功を奏しない可能性も高く、必ず専門業者の知恵と技術が必要となります。ただ、基本的な知識がないと、間違った対処方法をとって費用ばかりがかさむ結果になりますので、是非、ほんの少しの意識を傾注していただきたいものです。
そこで、自戒をこめて最近出会った本から抜粋してここに紹介します。
蟻害予防
蟻害予防は、まずシロアリの進入に対して何よりも「早期発見しやすい建物」であることと、シロアリが嫌う「薬剤バリアの敷設(噴霧・注入)」に尽きます。不幸にも発見した場合には、シロアリ&巣の「薬剤駆除」とその後の「観察」が必要です。駆除には直接散布、誘殺、陽動(本当の意図を敵に誤認させ誘導)、毒餌がありますが、いずれにせよ、シロアリが発生した時点での蟻道・巣の発見は言うまでもなく、シロアリの生態を熟知した専門業者の対応判断が要です。また、素人では見極めにくい普段からの観察が大事なようで、「専門業者による定期的な点検」と「シロアリが好まない環境」作りへのアドバイスも有用かもしれません。
シロアリの食べ物シロアリは何でも口にします。木はもちろんのこと、木(パルプ)でできた紙や布、断熱材などの化学製品、コンクリートや金属までなんでもその歯にかけます。また案外「灯台もと暗し」なのが庭木(生きた木)です。こうしてあらゆるものがシロアリの口の前にあればそれはそのまま被害の対象、すなわちシロアリのかじる対象となるというから驚きです(シロアリの栄養源はセルロース=水に溶けない食物繊維のひとつ)。
間違った防蟻対策
間違った防蟻対策はかえって、家に悪影響を与えることがあるので、信用のおける防蟻業者に依頼すべきであることは前に記しましたが、特に、薬剤散布などの時に土台などに薬剤注入と称していたずらに孔を開けてしまったり、きちんとした説明のない工事を行ったりする業者は要注意ですので気を付けましょう(今回筆者の案件では人通口を拡張するコンクリート基礎割の方法、薬剤の種類、工程、散布前の調湿剤の袋数をしっかり説明、オプションもきちんと説明)。
イエシロアリの場合はいくら被害箇所に薬剤散布しても巣を根絶しないとその場しのぎ、またヤマトシロアリは水を運びながら生息するので、木部の湿潤具合が直接被害度を決めるものではない、要するに乾燥材でも食するということ・・・、などで勝手な思い込みでシロアリを捉える怖さが、あり得るということです。
シロアリは「蟻」ではない
シロアリを実際にご覧になったことがありますか?
蟻と言っても庭を歩く蟻(ハチ目アリ科)とは別種、昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科だそうです。その特徴は、普段見かける蟻のように黒くこりこりと堅そうな殻を持っておらず、なんだかふやけた白っぽい肌をしていています。よって、日裏のもやしのようにシロアリそのものは「やわい(弱い)」生きもののようで、直射日光や風通し、暑さ&寒さをとても嫌うようで、そのため木部や土壌に潜り込んだり、土や蜘蛛の巣のような細かい編み目の「膜の管」の蟻道を作ったりして活動しているようです。
防蟻は、自ずとそんなシロアリの嫌う環境を作ることが必策となります。ただ、蟻道作りなどのように適応力も旺盛なので対策も大変です。
近づけすぎない植栽
建物のすぐ近くに植木鉢や植木を植えるのはNG。蟻さんを「おいで、おいで」しているようなものです。
湿気を呼び、また、木の根は蟻の進入を助けているようなものです。建物周りはスッキリとなにも置かない、植えないで。犬走りや排水溝の維持管理も必須です。
防蟻と防腐
また、防腐と防蟻は全く別に考えた方がいいようで、雨水の浸入などで腐った木部などは決してシロアリの食糧にはなりえない、セルロースは既に腐敗菌により食されているからです。腐った木材をシロアリは食べません。
薬剤の毒性と健康被害
まず殺虫剤はどちらにせよ毒であることを認識した上で、どう使うかを見極めることが健康被害への影響を左右します。毒も使いよう・・・、ということです。いかにも安心に思える蟻除けの炭やマイナスイオンといったものが防蟻に有効かどうかは疑問というしかありません。湿気除けや防腐効果は防蟻とは別問題です。
ハニートラップ式
健康問題もあり建物に毒である薬剤を散布することができない、したくない場合は、建物の周囲にハニートラップを仕掛けます。
そこに建物の周囲の女王蟻の棲むホーム(巣)から食害に通う建物の間にしかるべき間隔で毒入りの餌を仕掛け、それをホームに持ち帰らせて巣を根絶する方法。これは長い年月に渡り気長に続けることが必要で、ハニートラップの維持管理に定期的な保守費用が必要になります。
シロアリ、冬場は?
シロアリは冬場も木材の中等で活動しています。ただしあまりに寒い時は土の中に潜っていることもあるとのことです。
ながいき住宅のレシピ – 2021/10/8 浅葉 健介 (著)
わかりやすいように、QRコード動画を確認しながら読み進められるYouTube連動型書籍です。
内容 Q&A(抜粋)
Qシロアリとアリの羽アリの見分け方を教えてください。Qホウ酸処理のデメリットは。
Q床下の断熱はどこで取るべきですか。
Q壁の断熱材でおすすめはありますか。
Q外壁の防水について気をつけるべきは。
Qシロアリ被害は家のどこでわかるのでしょうか。
Q悪徳業者の被害に遭わないためには。
Qやってはいけないことは。