土蔵の床下換気口に施された花模様(上は井桁菱、下は梅花か)
明石駅から山陽本線を7kmほど西にいった瀬戸内海に沿った集落に「八木」がある。この山側一体の水田となつている段丘面を掘り下げて産出する粘土は、近代から現代にかけて黒瓦(燻し瓦)・赤瓦(塩焼瓦)の一大生産地をなす八木・江井島へ運ばれの製瓦業を支えたといわれている。
このあたりの山は有名な竜山石の産地で、この土蔵の基礎には赤黄緑の内、緑の竜山石(凝灰岩)が使われている。竜山石(凝灰岩)の流通は、古墳時代にも近畿圏一円で見られたもので、奈良を中心に近畿地方の長持形石棺は、ほとんどがこの竜山石といわれている。竜山石は、軽く運びやすいし、軟質で加工もしやすい。播州・摂津の民家の延べ石などによく使われている。
コロナ禍の真夏のある日、瓦工場はもうみつけることはできなかった。
明石瓦の旧産地 明石八木地区は、釉薬瓦といぶし瓦が混ざり合う風景
八木地区散策のきっかけは同市の窯業や瓦製造の歴史をまとめた冊子「明石の瓦」。明石市史編纂の一環の紀要単行本。
古代から現代までの瓦製造の歴史、大蔵谷、谷八木、八木、江井島の地区別調査を掲載。淡路の瓦との関連や瓦の刻印、明石で最後の瓦工場だった明石窯業についてのコラムもあり、瓦の知識がなくても明石の瓦産業の全体像がつかめるようになっている。(2019/8/25 05:30神戸新聞NEXTより>>)