図は軒下で商うミセの様子(西国三十三所名所図絵 西8-35長谷寺より半里西にある黒崎村の饅頭屋)。こうした物売り台・棚が町家のおもてに固定されてばったり床几(上げ下げ・折りたたみ式)になる。(現在の奈良県桜井市黒崎と長谷寺の地図↓by 国土地理院)
絵図のみせだなは、閉店後にはこのままなかに仕舞われたのだろうか?どっしり、頑丈なつくりにみえるので重そうである。町家は草葺きに板葺きと思われる下屋【げや】がつく。
写真は20年前のもので、確か京都大和大路沿いの町家だったと思う。今もあるだろうか?(床几の裏面右上に下の写真のような「まんじゅう頭の栓」が相手柱を貫通した向こうで栓差しされ留め付けられているはずである)
上の写真は、ならまちにあるばったり床几の留め具、まんじゅう金物(栓の頭がまんじゅうの形)。床几が倒れてこないようにこの栓(大きな鋲)で建物(横桟)に留めている。ばったり床几の留め方にはほかに簡単な掛け落としなどが使われているのがみられる。木材と金属の絶妙な取り合わせがみることができるばったり床几は、楽しい建築装置である。