「登録文化財」調査・改修例

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文化庁文化財課データベース

下記の表示年は登録年です。

1. 2003年  中村宗哲家(京都市)

■1997年二村建築研究所時代に設計・監理「方寸庵」起こし絵図から再現、後に登録される
嘉永7年(1854)築
構造及び形式等 : 木造2階建、瓦葺、建築面積158㎡等
解説:京都西陣にある塗師の住宅で、南と西側に高塀を建て、通り庭を持つ町家の形式。安政3年(1856)の裏千家の増築を手がけた木村清兵衛が建て、柱は色付けを施した面皮柱や絞り丸太を使用するなど、数寄屋大工の作品らしい雰囲気が漂う。【再現することが容易でないもの】

2. 2006年 松山大学温山記念会館(兵庫県西宮市)

*H2O阪神として調査に参加
■2013年 西宮市都市景観形成建築物に指定
昭和3年(1928)築
構造及び形式等 : 鉄筋コンクリート造2階建、瓦葺、建築面積582㎡、地下室付
西面敷地中央の北寄りに建ち、東西20m南北15mの規模で、RC造2階建,寄棟造,スパニッシュ瓦葺とする。表門からやや奥に建ち、正面に車廻しを付け,外観を洋風意匠でまとめ、堂々とした構えとする。昭和初期の有名建築家の建てた洋館として貴重。【造形の規範となっているもの】

3. 2006年 旧六十八銀行八木支店(奈良県橿原市)

■現状変更、曳家、レストランにリノベーション済み
*NPO法人八木まちづくりネットワーク調査に参加
 昭和3年(1928)築
構造及び形式等 : 鉄筋コンクリート造2階建、建築面積157㎡
解説:近鉄橿原線八木西口駅近くに,国道に北面して建つ。両翼を薄く張り出したルネッサンス風の形態をとり,中央部の玄関とその上部の半円形窓の左右にイオニア式の円柱を配する。幾何学的な細部や玄関廻りタイルの芋目地貼等に新味が認められる。設計は舟橋俊一。【造形の規範となっているもの】

4. 2007年 浦家住宅(兵庫県西宮市)

*調査まとめ(HM有志参加)、所見:藤森照信
■2019年西宮市都市景観形成建築物に指定
昭和31年(1956)築
構造及び形式等 : 鉄筋コンクリート造2階建、建築面積131㎡等
解説:吉阪隆正の初期RC造住宅作品。東西に並べた二つの正方形ブロックと中間の玄関部からなる。各ブロックは床と屋根のスラブを各辺中央のく字形柱で支えてピロティとし,煉瓦外壁に突出する小口が表情を与える。各所に現した原色が鮮やかなモダニズム住宅の佳品。【造形の規範となっているもの】

5. 2009年  河合家住宅(大和八木・奈良県橿原市)

*所見・図面とりまとめ NPO法人八木まちづくりネットワークと調査(監修:林清三郎)
江戸後期/江戸末期築・1997年改修
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積261㎡等
解説:敷地西側の下ツ道に面して建ち、桁行20m梁間12mの木造つし2階建、切妻造瓦葺。北寄りを通り土間とし、3列9室の居室部を設け、その南東隅に隠居所を附属。正面に木太い格子を構え、上屋の軒は低く、漆喰を塗り込める。重厚な外観をもつ大型の商家。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

築地塀は太鼓張り形式で中は空洞である。

6. 2009年 河合源七郎家住宅(大和八木・奈良県橿原市)

*所見・図面とりまとめ NPO法人八木まちづくりネットワークと調査(監修:林清三郎)
明治中期(1883-1897)築
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積292㎡等
旧下ツ道に西面して建つ。桁行7.9m梁間13m、木造つし2階建、切妻造桟瓦葺を中心に、水まわりや座敷などを付設する。正面は出桁で軒を深め、1階に出格子や格子戸をたて、2階は大壁で虫籠窓を穿つ。建ちが高く重厚な外観をもつ大型の町家である。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

7. 2010年 奈良県立畝傍高等学校(奈良県橿原市)

■登録前にアルミサッシ、耐震改修済み
*所見・図面とりまとめ NPO法人八木まちづくりネットワーク+奈良県文化財課協力による調査 調査期間2009-2010
昭和8年/昭和51年( 1933)築・平成2年改修
構造及び形式等 : 鉄筋コンクリート造3階建、瓦葺、建築面積983㎡等、塔屋付
解説:校地の南側中央に位置し、校庭に北面して建つ。鉄筋コンクリート造三階建、東西94.7メートル南北10メートル、正面中央に宝形造本瓦葺の塔屋をつくり車寄を出す。陸屋根の四周は本瓦葺とする。近代的な建物の要所に和風意匠を取り入れた和洋折衷の校舎。【造形の規範となっているもの】

8.2012年 神戸大学武道場(旧神戸商業大学道場)

昭和10年(1935)築
■2012年耐震改修(神戸大、小野設計)の調査・設計に関わる
木ズリ漆喰、キングポストの近代和風建築を限界耐力計算法で補強計画(荒壁パネル等利用)
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積362㎡
解説:六甲台キャンパスの北西隅に南面して建つ。入母屋造桟瓦葺、桁行27.3メートル梁間12.7メートル、正面中央に車寄を出す。内部は中央に道場、東西に附属間を配し、北面中央に神棚を置く。格天井や鰭付懸魚等を用いた格式ある造りで大学の歴史を伝える。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

9. 2014年 山内家住宅(山口県防府市)6棟

*所見・図面とりまとめ(同時に山口県近代和風建築調査)調査期間:2010
昭和6頃(1931頃)築
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積279㎡等
解説:敷地中央に北面する。座敷棟と生活棟をT字形に連結させた配置で、屋根は入母屋造で庇を廻し、桟瓦葺とする。玄関は懸魚、舟肘木で風格を表し、座敷の欄間には花丸紋などの透彫を施す。座敷棟北西には洋間の執務室を附属する。端正にまとめた昭和初期の邸宅。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

10. 2014年 興山寺本堂(和歌山県紀ノ川町)1棟

*和歌山県文化財課による所見・図面 調査協力
明治22年( 1889)築
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積54㎡
解説:宝形造本瓦葺の三間堂で背面の庇一間を取込み、正面に向拝を付ける。柱上端を虹梁で固めて長押との間に彫刻化した蟇股を挟み、籠彫の木鼻を付す。組物は出組詰組で獅子の拳鼻を飾る。内部は一室で二重折上小組格天井を張る。豊かな彫刻で荘厳された近代仏堂。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

11. 2016年 旧鍵野家住宅(神戸市)1棟

■2021年現状変更及び耐震・断熱改修工事
*所見・図面とりまとめ(HM有志と調査)調査期間:2014-2015
大正13年(1924)築
構造及び形式等 : 木造2階建一部地階付、瓦葺、建築面積100㎡
解説:御影の傾斜のある住宅街に建つ洋館。屋根にドーマー窓を上げ、外壁の一部をドイツ壁仕上げとした下見板張の洋風外観とする。一階を応接室や書斎などの洋室とし、二階に和室を並べる。貿易港神戸における戦前期中産階級のための住宅のあり方を良く示している。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

12. 2016年 大土神社(神戸市)6棟

■2021年現状変更(摂社造替)、2024年本殿・幣殿修理工事へ
*所見・図面とりまとめ(HM有志と調査)
江戸末期(1830~1868)築
構造及び形式等 : 木造平屋建、鉄板葺、建築面積1.5㎡等
解説:六甲川に沿った細長い南北敷地の北寄りに建つ。一間社流造で、内陣は三室に区画し、正側面に縁を廻し高欄を付け、正面には浜床・浜縁を設ける。正面は格子戸四枚引違で、軸部組物は檜材を用いる。江戸末期の新田開発の歴史を今に伝える建物である。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

13. 2016年 岡本家住宅(大和八木・奈良県橿原市)6棟

*所見・図面とりまとめ NPO法人八木まちづくりネットワーク+京都工芸繊維大学矢ヶ崎善太郎研究室らと調査
明治39年(1906)築
■2019年公共下水工事
構造及び形式等 : 木造2階建、瓦葺、建築面積279㎡等、中庭北面・通路南面及び北西角土塀付
解説:橿原市街中心部を縦貫する下ツ道に東面して建つ。表屋造とし、つし二階建の表屋と総二階建の母屋、二棟を繋ぐ玄関、土塀からなる。玄関・母屋には中廊下を通し、左右に居室を配する。良材で丁寧に仕上げ。一階の出格子と二階の漆喰塗で、街路景観を形成する。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

14. 2018年 旧西垣家住宅(兵庫県丹波市柏原)3棟

*所見・図面とりまとめ
■2012年耐震改修工事
■2022年兵庫県景観形成重要建造物に指定
明治後期(1898〜1912)築/昭和40年代増築
構造及び形式等 : 木造2階建、瓦葺、建築面積148㎡等
解説:旧武家地に西面して建つ。木造二階建、入母屋造で、正面二階に縦長の虫籠窓を三箇所開き、軒まで塗り込め整った外観。一階は通り土間に沿って二列五室を配す。軸部は木太く堅牢な造りで、座敷は廻縁や天井の棹縁に面皮材を用い、数寄屋風の意匠も取り入れる。【 造形の規範となっているもの】

15. 2018年 武藤家住宅(神戸市)4棟

*所見・図面とりまとめ 調査期間:2016-2017
大正15年(1926)築/昭和14年頃改修
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺一部金属板葺、建築面積307㎡等
解説:阪急御影駅近傍の閑静な住宅街にある。主屋は敷地中央に南面して建ち、入母屋屋根の周囲に下屋を廻し、西側奥に蔵前と離れ、東側奥に居間棟が附属する。東側中央に突出する玄関脇には洋館を附属する。優れた大工技術でまとめられた上質な和風住宅。【造形の規範となっているもの】

16. 2019年 東多田夢勝庵(兵庫県川西市)6棟>>ひょうごロケ支援Net

■2017年川西市景観重要建造物に指定、2020年兵庫県景観形成重要建造物に指定、2022年地域交流施設への第一歩「外トイレの整備」、2024物損事故修理
*所見・図面とりまとめ(監修:神戸大学足立祐司名誉教授、調査:HM有志)調査期間:2017-2018
江戸後期築
構造及び形式等 : 木造平屋建、瓦葺、建築面積170㎡等
解説:猪名川東側にある集落の元庄屋屋敷。敷地後方に南面して建つ主屋は入母屋造り平屋建てで、四周に廻した下屋上を大壁として塗り込める。東に土間、西に前後に3室を配し、前列上手に座敷を設ける。主屋の西側に土蔵造り2階建ての家財蔵、主屋の正面に前庭を区切る露地門及び庭塀が建ち、格式ある屋敷構えの中核を形成している。

敷地東南隅に平屋建ての長屋門がL字形に建ち、東面と南面に門扉を構えた堂々たる表構えをつくる。敷地境には東北隅に裏門及び北塀、西面南半に西塀が残り、庄屋屋敷の伝統的な構成を伝えている。【国土の歴史的景観に寄与しているもの】

17.2021年 旧大鳥家(明日香村)2棟

*調査のサポート 調査期間:2020-2021
明治初期築 明日香村初めての登録建造物
構造及び形式等:木造2階建

元置土(土天)、丸太多用の中庭を持つ町家建築。文化財の宿-古民家ホテルに改修後登録決定(S氏設計)>>文化財の宿【公式】BRANCHERA VILLA ブランシエラ ヴィラ 明日香

2017 年より明日香村・明日香村地域振興公社・長谷工コーポレーションによる官民連携の包括協定に
基づく明日香村活性化施策スタート。2018 年に明日香村空き家バンクに登録されていた本件を 2019 年長谷工コーポレーションが取得。空き家問題や宿泊施設不足解消に向け古民家ホテルとして計画。2022年文化財の宿として開業。

211128明日香村飛鳥の旧大鳥家前の参道

18.2023年 浄楽寺(奈良県)2棟

*所見・図面とりまとめ(調査協力:大脇潔、多武峰旧妙楽寺子院、山本工務店)調査期間2021-2022
2023年2月27日官報第39号にて文部科学省告示
(古瓦の研究家、多武峰関係者による古文書解説、宮大工の調査支援に感謝)
耳成山北の集落中央に位置する浄土真宗寺院。本堂は入母屋造り平入りで向拝を付す。縁を巡らす外陣と、左右余間を付す内陣からなる。多武峰(とうのみね)妙楽寺輪蔵の部材を購入して建てたことが文書から分かる貴重な建物。門は境内東辺に開く薬医門で、木鼻や蟇股の意匠は伝統的で質実。集落の歴史的景観を形成する。

19.2023年 瑞穂酢(大西家住宅)(奈良県)11棟

*所見・図面とりまとめ(調査協力:大脇潔、伊丹市文化財課、橿原市文化財課)調査期間2021-2022
2023年2月27日官報第39号にて文部科学省告示>>ミヅホ株式会社
(古瓦の研究家に感謝)
耳成山北の集落で食酢(しょくす)醸造を営む旧家の屋敷。通し柱を多用する構法とし、材を吟した住宅。内蔵は敷地北辺に位置する道具蔵で、蔵前を介して主屋と接続する。屋根は置き屋根形式で漆喰で塗り込めた丁寧な造りとし、築地塀とともに屋敷構えを形成する。
酢蔵(すぐら)では、内部に大きな杉樽を並べ、作業用の二階床を設ける。旧麹室は敷地南西にあり、麹を管理する土蔵造りの平屋建て。内部に木製麹室を入れ子とする。米蔵は敷地南にある長大な土蔵造りの建物で、元は門扉の付いた長屋門で中央の通路を残す。
全体として、北側の旧家の接客空間と、伝統的な食酢製造の工程を示す建物群から構成され、食酢製造を営む旧家の屋敷構えとしても貴重である。

20.2024年 育成幼稚園園舎兼日本聖公会櫻井聖保羅教会礼拝堂(奈良県)1棟

*調査・所見作成 2023年調査(調査協力:大脇潔、中和設計)

JR桜井駅南東にある幼稚園園舎兼礼拝堂。木造二階建てで外壁は下見板張、腰は一部モルタル洗出仕上げ、
上部に矩形と尖塔アーチ窓を開く。一階は園舎、二階は東西に長い単廊の礼拝堂とし、小屋組はシザートラス。
地域が親しむ切妻屋根の園舎兼礼拝堂。元の会堂M41築、S5増築、S55改修>>

230430育成幼稚園 玄関けらばのデンティル飾り

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