玉石基礎の建物では「柱が石を踏み外す」心配と「柱毎に勝手に上下左右に動き出す」心配があります。柱を足下でつなぐ役目が「足固め」。この場合はコ字鋼材を使って既存柱を傷つけないように鋼材同士をボルトで締め上げ柱脚を固めています。二人三脚の手拭いのように柱の動きを拘束できますね。
伝統的構法のための木造耐震設計法>>
石場建てを含む木造建築物の耐震設計・耐震補強マニュアル – 2019/6/7
伝統的構法木造建築物設計マニュアル編集委員会 (著)
町家・民家・寺社など伝統的構法による木造建築物を設計するには、その優れた変形性能を生かすことが重要。本書は、石場建てを含む伝統的構法の構造や設計の考え方などの基礎知識、限界耐力計算を発展させた計算法と設計手順、事例、設計資料を掲載。新築の耐震設計、改修の耐震診断・耐震補強に役立つ実践的マニュアルといえる。
読んでみての感想です。
伝統構法による新築の場合、損傷限界を層間変形角を1/120(1/90)、安全限界層間変形角を1/20としている。また偏心率を0.15以下とすることを推奨している。一方既存建物の耐震診断や補強設計の場合、お堂でもない限りその変幻自在な平面と変化に富んだ空間構成(座敷と土間、無柱空間と大規模吹き抜け)やアンシンメトリー性、正面性が日本建築の美とすれば、補強することで多くのその良さを我慢していくことになる。伝統構法の良さを生かした補強設計にはかなりの無理が生じると思われる。
完璧を目指すより、ソフトで地震時の対応をし(避難)、ハードでは弱点をフォローするぐらいのつもりでいこうかと思う。国宝建築でもないので多大な、費用対効果が見えてこないつらさを確認できた。現実的には現況診断値を評点に置き換えたときに5~10倍をめざしてはどうかと思う。(0.01→0.05~0.1、0.03→0.15~0.3)土台のある近代建築(窓の少ない洋館)なら思い切って0.7を目出しましょう。・・・これはあくまで私見ですが。
目 次
■本編
1章 本マニュアルの概要
2章 一般事項
3章 荷重・外力
4章 伝統的構法の構造要素
5章 地震応答計算
6章 風圧力に対する検討
7章 部材の検討
8章 地盤および基礎の検討
9章 新築建築物の耐震設計の事例
10章 既存建築物の耐震診断・耐震補強設計の事例
11章 チェックリスト
■設計資料編
設計資料-1 材料に関する規定
設計資料-2 地震応答計算
設計資料-3 偏心と水平構面による補正
設計資料-4 各層の設計用復元力
佐久間順三流SUISUIわかる 木造住宅の耐震診断│耐震補強設計│補強工事の勘所>>
佐久間順三 (著) 2017/7/28
『木造住宅の耐震診断と耐震補強』を基本に,耐震診断と耐震補強をするための手引書です。実際に診断や補強業務をする場合に,必要な手続きの進め方,現地調査や補強工事について,筆者の微に入り細にわたるノウハウが盛り込まれています。安全な耐震補強の住宅づくりに活用していただきたい手引書。
耐震補強マニュアル>>
2012-12 アムハード小西 田原賢さんの著
耐震補強マニュアル―耐震診断ができる、わかる。
耐震診断と補強現場、そして耐震補助の実際をを知り尽くした故に綴られたノウハウです。
設計実務に使える 木造住宅の許容応力度計算>>
– 2023/3/17
大橋 好光 (著), 柳澤 泰男 (著)
2025年、木造住宅に関する建築の法規制が大きく変わる。特に影響が大きいのは、4号特例の縮小で、建築確認の際、2階建て木造住宅では構造審査が実施されることに。
構造設計のバイブル「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」(通称グレー本)をベースに、計算プロセスや専門用語を、分かりやすく解説。実際の構造計算書を基に、知っておきたいチェックポイントを明記。構造計算をはじめたい住宅設計者をサポートする入門書。
耐震シミュレーションwallstatガイド 2020-04 学芸出版社
鈴木 強、 中川 貴文
累計4万ダウンロード!
地震による住宅倒壊のリスクを可視化できる、耐震シミュレーションソフトwallstat。解析結果が動画で示され、他のCADソフトと連携できる等、取り組みやすい上に、解析自体は高度な技術に裏付けされており、工務店や設計者などの実務者に広く活用されている。本書は、wallstatの基本操作から応用まで全て解説した初の公式ガイド。
目の前で倒壊していく自分の家はリアルです。
JSCA版 木造建築構造の設計(第2版)>>
2021/5/21
一般社団法人日本建築構造技術者協会(JSCA) (編集)
2011年4月に発行した『JSCA版 木造建築構造の設計』の改訂版。
「木造新時代」ともいえる新たなフェーズに必携。
特に2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、国が積極的に木材利用を後押しし、また2016年に制定された「CLT関連告示」、および「耐火木造関連の法整備」により、継続的に木造建築に取り組む環境が整備され、今後さまざまな用途の建築が「木質化される」ことが予想されます。
このような状況を鑑み、第2版では、「中大規模木造」の設計に軸足を移したものへと改訂されています。
主な改訂は以下の通り。
1新しい木質材料や接合金物に関する情報の追記
2防耐火設計に関する最新の知見を追記
3中大規模木造を念頭にした品質管理に関する情報整備および木質工事標準仕様書の改訂
4設計事例を中大規模木造および構造特性係数Dsの算出事例に更新