老いゆく屋敷
縁あって進めてもらった、農村屋敷をその保存・継承を念頭に購入。大阪の郊外で便利なところです。
現在年に何度か楽しみの場として利用しているところですが、このところ訪れないうちにすっかり庭はジャングル化、母屋では雨漏りがあちこちに起きているのを発見してその荒廃ぶりに愕然。
このままではせっかくの民家も老いゆくばかりとの懸念が起きました。
購入した時の意向・主旨をこれから継承してもらう子供らに引き継ぐとともに、当面は大きな修理が必要ないように、建物の計画修繕のための建物調査をしようと考えています。
また今後もっと活用の機会を増やすべく、このような古民家活用を得意とする専門家や管理・運営団体と活用に基づく計画修繕や改修工事について考えていけたらと思っています。
自力活用の模索に加え、もうひとつ、地域にとっても大事な「歴史的な遺産」であり、里山景観を支える重要な建物でもあるとも思っていましたので、客観的にその価値を調査・記録そして「価値づけ」しておくべきではとのアドバイスもいただいております。
いわゆる国の「登録有形文化財」登録や「景観形成重要建造物」への指定などです。
多様にやらねばならないことがあるように思いますが、今後の道筋についてのご意見をお願いします。
たとえば、「地域ホテル」
歩いて回れるひとつの地域で町家や古民家を10軒ほどの群で経営するタイプの「地域ホテル」にしようとするケースがあります。
旅館ではなく「一棟貸し」もしくは「一棟数室」のホテルとし、フロント業務は古民家レストランのようなスタッフの常駐部門があつかいます。食事はそうした古民家レストランに出向くほか、地域の他のレストランと連携する場合もあります。
内閣官房に出来た相談室が兵庫県篠山市「集落丸山」や同「NIPPONIA」事業を手本に、今まで法律の壁で実現できなかった古民家の用途変更策を指南してくれるものです。
歴史的資源を活用した観光まちづくり支援サイト 開設>>http://kominkasupport.jp/
こうした歴史的建造物さがしをサポートする不動産コンサルや改修工事を行う工務店・建築士、ホテルやレストラン運営会社、資金調達をおこなうファンドなど複数の企業体がグループとして動きますので、業務は非常に複雑です。
全体のコーディネイト役に実力がないとどれも中途半端になりがちですが、ホテルグループや地域の観光関連会社(鉄道会社など)、飲食業界、新規参入・・・と触手をのばす企業が噴出中です。
ちなみに兵庫県では、市街化調整区域の住居系の用途地域の場合、民泊は認めていません。
「ぽつんと一軒家」都市計画法に注意
ここまでは夢のお話。
実はTVなどで紹介されている例のように現実は甘くありません。もし市街化調整区域なら規制はさらに大きく、そう簡単に民泊とか農家レストランというわけにはいかないからです。「ぽつんと一軒家」でカフェや蕎麦屋を見かけますが、合法性があるかどうかはグレーです。
合法性と言う意味では役所の「都市計画課」や「建築指導課」、「空き家対策窓口」などの窓口でまずは相談してみてください。できたら建築士などの専門家と行くとか、複数回行くとかが大事です。役所も親切とは限りませんし、自分に有利な点しか耳に残らないことも往々にしてありますから。自戒を込めて、です。
古民家購入の事例から
いままで関わった中で、古民家購入の成功例としたら、若夫婦が子育てや自営業(インテリアデザイナーや工務店さんが多い)の場として、オープンハウスとしてなどDIYしながら人が集える家として購入されています(住宅の範囲での活用)。その他は定年後の住まいにと購入例(住居とギャラリー)がありました。土地2~300坪で2~300万とかの購入価格帯が多く、古民家ネットなどのサイト利用も多いようです。
DIYを可能にするぐらいの建物ですので、そこそこ使えるかどうか、一室でも安心して居住まいできるか、水回りが許せる範囲かがネックとなります。崩落がおきていたら、また雨漏りが長年あるような風体では、売買のハードルが上がってしまうことは想像がつきますね。
中には別荘感覚で、都会の市場感覚からは安いといって衝動買いしたものの、改修費が意外と高くつくとわかって、また売りに出すといったこともききます。また住まないまでも使う以上は地元の自治会に入り、最低限の行事(祭事や溝掃除)には参加するつもりでいないと、何かあったときに助けてももらえません。
地元にとっての家は、単なる「土地・建物」でなくて、「おいえ」という地縁でつながる運命共同体的な存在なのですから。
サブリース業者にたのむ
昨今みかける「キラキラ活用」の成功例には、サブリース業者がからんでいることも多いです。実績あるサブリース業者がマーケティング・建物調査をし、事業者仲間との連携などで、うまくいけば、比較的短期に改修できる事業プランをたててくれ、家主は本貸し-又貸し間の利鞘からいくらかを回収することができるというわけです。
「手ぶらで手数料」ですので少ない収入ですが、空き家でなくなり、管理が行き届くことだけでもありがたいと仰る場合には向いています。