四号特例制度の廃止等、増改築に少し緩んだ建基法

建築確認・検査対象及び審査省略対象の見直し【2025年4月施行予定】

現行法は、原則全ての建築物を対象に、工事着手前の建築確認や、工事完了後の完了検査を求めているが、都市計画区域・準都市計画区域等外においては、一定規模以下の建築物(木造については階数2以下かつ延べ面積500㎡以下、木造以外については平家かつ延べ面積200㎡以下)は、建築確認・検査の対象とされていない。

また、都市計画区域・準都市計画区域等の区域内においても、一定規模以下の建築物(木造については階数2以下かつ延べ面積500㎡以下、木造以外については平家かつ延べ面積200㎡以下)は、建築士が設計・工事監理を行った場合には建築確認・検査において構造・防火規定などの一部の審査が省略されている(いわゆる四号特例制度)。

が、審査省略制度を活用した多数の住宅で不適切な設計・工事監理が行われ、構造強度不足が明らかになる事案が発生するなど、かねてから審査省略制度の見直しが検討されてきた。

2020年3月からは、建築確認・検査の対象外となる建築物や審査省略制度の対象となる建築物も含めて、全ての建築物について、配置図、各階平面図、構造計算書等の構造関係図書、工事監理報告書等の保存が建築士事務所に義務付けられたところである。他方、今般の改正法に基づく省工ネ基準適合義務化等を通じ、断熱材や省エネ設備の設置等により建築物が更に重量化することが想定され、建築物の構造安全性のより確実な担保が求められる。

木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための壁量基準等の見直し

木造建築物について、建築確認・検査対象が階数2以上又は延べ面積200㎡超に見直(現行制度における階数3以上又は延べ面積500㎡超から対象範囲を拡大)されるとともに、建築確認・検査の対象が「平家かつ延べ面積200㎡以下」の建築物に見直された(現行制度:階数2以下かつ延べ面積500㎡以下)。

必要な壁量に関する規定(施行令第46条第41頁等関連)

従前の「軽い屋根・重い屋根」の区分を廃止し、建築物の荷重の実態に応じて以下の算定式により必要な壁量を算定する方法へ見直される。これに際して、住宅の諸元を入力することで、必要壁量や柱の小径・柱の負担可能床面積が容易に算定できる設計支援ツールが整備される。

住宅の採光規定の合理化【2023年4月1日施行】

住宅の居室に必要な採光に有効な開口部面積について、原則その居室の床面積の1/7以上としつつ、「床面において50ルクス以上の照度を確保することができるよう照明設備を設置することを条件に1/10以上まで緩和することが可能とされた。

コロナ禍における業務形態の変化等により、採光規定が適用されない事務所やホテル等から住宅に用途変更するニーズがあるところ、必要な採光面積を確保するための工事が負担となり、断念するケースが発生している。また、省エネ対策の推進の観点からも、省エネ改修手法のバリエーションの拡大が求められていることが要因である。

既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化【2024年4月1日施行】

既存不適格建築物について、増改築や大規模の修繕。大規模の模様替、用途変更を行う場合には、各規定が遡及適用され、原則として建築物全体を現行規定に適合させることが求められる。この既存不適格建築物について増改築等を行う場合、改正前の制度では、増改築等を行う部分とは空間的。性能的に関係のない部分も含めて防火・避難規定や集団規定に適合させることが求められることから、時間的・費用的な負担が大きく、工事自体が断念されるケースが生じていた。

建築物の長寿命化・省エネ化等を推進する観点から、改正法では、既存不適格建築物であっても所定の安全性等が確保される場合について、増改築時等における防火・避難規定、集団規定の遡及適用が合理化された。

防火・避難規定、集団規定については増改築時等において原則現行基準適合が求められる。

A.防耐火、防火区画、避難関係規定

50㎡かつ基準時における延べ面積の1/20以下の小規模増改築
なお、火災の発生のおそれの少ない用途(階段室、機械室、便所、浴窒、昇降路等)については面積の制限なく全て遡及対象外

B.防火区画、避難規定(建築物の内部構造を制限する規定)

屋根・外壁の大規模修繕・模様替えを遡及適用対象外とする。

C.廊下巾、非常用照明、非常用進入口、内装制限規定

増築等をする部分に限って遡及適用する。(増築等を行わない部分は遡及対象外とする。)
なお、用途変更についても同様に用途変更部分に限って朔及適用される。(用途変更を行わない部分は朔及対象外)

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