古い建物の調査で一番困るのは、木材の種類です。
近世以前のものは古びてよくわからないし、近代のものは海外の材料をはじめ、今はもう使わないような珍木・奇木・変木が使われていてお手上げです。
植木の剪定をしたり、草花を育てたりと結構草木になじんでいると思っていても、建築材料の判定には苦労をします。
サワラの亀甲網代天井 寂びすぎない照りのよい材料 近代和風住宅にて
今般も、近代数寄屋を調査するに当たって、最終的に二、三種の木材樹種がどうしても判明しないまま調査終了になりました。
そこで見つけたこの図鑑です。
日本人は樹種に応じてその使い分けを伝統的におこなっています。長年の経験と木性をいかす見立てと技術でそこにある自然材料を使いこなしてきたともいえます。
食材である魚や獣肉も捨てるところがないように、樹木は幹、皮、芯材・辺材、枝、実・・・と捨てるところなく使います。同じ部位でもその様相に応じて爪楊枝から五重塔の心柱まで吟味して使い分けします。
門の天井 破竹か細竹とエゴノキの枝、写真上部は葦、白い木舞と棹縁はコブシ?
ときに木肌に近寄って、またときに森を見るように私たちの身の回りの木々を楽しむきっかになるかもしれません。この図鑑を手にとってみてください。おすすめです。
※実務的にはもちろん銘木屋さんや大工さんに聞くことができます。また都道府県単位で木材・森林技術センターに直接相談することも可能です。
種類・特徴から材質・用途までわかる樹木と木材の図鑑 101種の葉や樹皮を含む「立ち木」、色や木目がわかる平板の木材見本、家具・道具や建築物といったその木が使われているものの写真があり木の特徴や用途がよ~くわかります。 by G-Tools |