登録文化財の例の中でとても珍しいもの、こんなものまでと驚く例があります、たとえば溝(棟)、用水路(所)、井戸(基)、井戸屋形・・・。
生野の井戸と井戸屋形(鉱石のくずを固めた「カラミ石」を積んだ井筒)
井戸屋形の登録例
吉野神宮井戸屋形【いどやかた】 昭和6(1931)
員数: 1棟
構造及び形式等:木造、瓦葺、幅1.6m、井戸付
登録年月日:2010.01.15(平成22.01.15)
登録基準1:国土の歴史的景観に寄与しているもの
所在地:奈良県吉野郡吉野町大字吉野山
解説文:神饌所の東方に位置する。周囲に葛石をまわし、中央に石造の井桁枠を置き、その東西に方柱を建て、その前後を斜めの添柱が支える。長い腕木が桁を持ち出し、深い一軒疎垂木を支持する。屋根はやや起りのある切妻造桟瓦葺。明治造営時の境内の様子を伝える遺構。
井戸の登録例
森松家住宅井戸 江戸末期(1830-1867)
員数: 1基
構造及び形式等:石造、面積0.64㎡、洗い場付
登録年月日:2009.08.07(平成21.08.07)
登録基準1:国土の歴史的景観に寄与しているもの
所在地:兵庫県尼崎市武庫之荘東
解説文:敷地の中央、主屋の東南にある井戸。厚さ0.12mの花崗岩切石を相欠とする石組で、平面は0.8m四方、高さ0.7mを測る。井戸は深さ8.0m。井戸枠の南側に、幅1.9m奥行0.9m大の花崗岩製の洗い場をつくる。
燈籠の登録例
四国村金毘羅石燈籠 寛政6(1794)
員数: 1基
構造及び形式等:石造、高さ3.0m
登録年月日:2000.04.28(平成12.04.28)
登録基準1:造形の規範となっているもの
所在地:香川県高松市屋島中町
解説文:もと香川県綾歌郡国分寺町新名石舟に所在。高い石積基壇と四段積の台座の上に建つ江戸後期の石灯籠で、意匠は「常夜燈」よりも簡素であるが、正面に「金毘羅大權現」と刻し、金毘羅街道の道標としての格を示している。
溝の登録例
若桜鉄道若桜駅流雪溝【りゅうせつこう】 昭和16(1941)
員数: 1棟
種別1: 交通
種別2: その他工作
構造及び形式等: コンクリート導水路、幅1.0m、延長278m
登録年月日: 2008.07.08(平成20.07.08)
登録基準1: 造形の規範となっているもの
所在地: 鳥取県八頭郡若桜町大字若桜字蓮教寺下モ345-2他
解説文: 若桜駅構内で除雪された雪を流すためのコンクリート造の導水路。南東から北西に向かって構内総延長278mに及ぶ。溝の深さは85cm。全幅1.0mで、流路幅は60cmを確保している。積雪地における鉄道施設の状況を知ることのできる構造物である。
用水路の登録例
西野谷用水路【にしのや】 大正15(1926)
員数: 1所
種別1: 産業1次
種別2: 土木構造物
構造及び形式等:石造、延長49m
登録年月日:2003.07.01(平成15.07.01)
登録基準1:国土の歴史的景観に寄与しているもの
所在地:新潟県妙高市大字西野谷
解説文:万内川七号堰堤と一体的に築かれた灌漑施設。七号堰堤上流右岸側から取水し,堤体と平行に延びる水路をL字型に曲げ,堤体右翼部の約1m幅に刳り抜かれた堤体内を導水させた石張構造物。生活上の要請を複合的に解決した,治水施設と一体化した利水施設。
防空壕の例
松山大学温山記念会館防空壕 昭和前期
員数 : 1棟
種別1 : 住宅
種別2 : その他工作
構造及び形式等 : 鉄筋コンクリート造、面積35㎡
登録年月日 : 2006.03.02(平成18.03.02)
登録基準1 : 再現することが容易でないもの
解説文:敷地裏に当たる敷地東端に建ち,南北5.7m,東西3.9mの規模で,西面南端及び南面東端に2重耐爆扉の出入口を設け,全体の壁厚を30cmとする。内部は1室で,室内の天井をドーム状として,鉄製の換気設備2箇所を設ける。防空壕の遺構として貴重。