笑う町家
京都には通りごとに角地があるがそこに建つ「角地町家」は昨今とても少なくなっている。
角地町家は、正面しか見えない正面町家とはひと味もふた味も違い、角地センスが問われるので作り手はさぞ気合いを入れたことであろう、特異な意匠のものが多い。
この町家も然り、特に妻面にぐっと力【りき】入れて「笑う京町家」の出来上がり。木部にはベンガラの痕跡が残り、黄色味の深い稲荷土の虫籠窓を模した大壁をプロット。しかも虫籠窓と言っても、竪格子も凹部も塗り籠めてあるので通気なく、だるんとした長楕円の縁取りで囲み、にっと「笑っている」。
京の町家
1992/8/1 杉本 秀太郎 (著), 西川 孟
京町家のエッセンスが凝縮された佳本としてこの本に勝るものはなかなかない、そんな古書の再販です。