登録文化財のメリット、つまり登録すると適用される優遇措置としては、個人所有でしかも地価の高い地域で、相続税の免除が受けられたときに大きなメリットになる場合がありますが、その他は正直、「ほとんどメリットはない」と考え、過剰な期待はしないようにしてください。
旧奈良監獄（奈良少年刑務所）は、現役最古の刑務所で、明治時代の赤れんが建築。
2016年度末で閉鎖し文化財指定に向けた調査へ（2017重文指定）。1908年に「奈良監獄」として建てられた「明治５大監獄」のひとつ。放射状に並んだ収容棟形式は監獄建築独特。活用方法に興味津々。明治村 金沢監獄中央看守所・監房＞＞
旧奈良監獄は、明治政府による第一期監獄改築計画の一つとして計画された。設計は司法省営繕課長の山下啓次郎とみられ、明治４１年に完成した。敷地中央に建つ中央看守所及び事務所を中心として５棟の舎房を扇形に並べるほか、敷地内には附属工場や拘置監など一連の施設が良好に保存されている。中核となる建物群は、ロマネスクを基調とした煉瓦壁の外観で統一され左右対称の整然とした計画で配置されており、意匠的にも優れている。明治政府が刑事施設の国際標準化を目指して計画した監獄の希少な遺構として歴史的価値が高い。＞＞
ただ、いままであまりにメリットがなかったため、下記の動きがあります。
登録文化財修理設計監理の補助要件の緩和（文化庁）の予定。そのための体制整備として都道府県建築士会に「歴史的建造物委員会」を設置（日本建築士会連合会）されることになりました。設計料が1/2になる補助が身近になるかも？
国庫補助による重要文化財建造物の保存修理事業の設計や工事監理は、文化庁が承認した「主任技術者」がおこなう必要がありますが、「美装化事業」（「美しい日本探訪のための文化財建造物活用事業」(文化庁Ｈ28年度新規事業)）の設計や工事監理については、設計者等がヘリテージマネージャーで、連合会に設置されている「歴史的建造物の防災計画等相談室」の指導を受ける場合には、「主任技術者」でなくともおこなうことが可能になりました。
登録文化財に関する2024年の動きです。
重文の外観、公開部分を健全で美しい状態に回復する取組を支援することで、観光資源の魅力向上を目指すのだそうです。観光客が増え、国も外貨獲得策として文化財もターゲットになったのでしょうか？
文化庁 登録有形文化財（建造物）の手引3(国庫補助事業の申請)＞＞
文化財修理は今までは「文化財Gメン」（奈文研や文建協など）の専売特許で、彼らの砦でした。専門家不足で文化庁が「窮余の一策」でしょうか、建築士のテリトリーが広がり、かつ文化財に関わることで「温故知新」、普段の仕事にもいい影響がでるといいですね。
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観光拠点整備事業(文化観光充実のための国指定等文化財磨き上げ事業)が額も大きく、外観修理に有効です。
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文化庁系ではなく国交省系がフォローしてくれるようになりました。景観形成やまちづくり、観光にシフトした保存・活用案作成や外観整備工事費への補助金が用意されつつあり、その場合「登録文化財」であることがとても有利に働きます。税金を投じる場合に市民への説得力として「文化財」であることが何よりも効果的だからです。
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設計監理料の1/2補助の対象設計者の枠が広まりつつあります。
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建基法3条適用へ、建築審査会を経ると可能に。伝統的な建物のよさをいかした増改築が可能になり、守りながら活用がしやすくなります。岡山県が口火を切ります。150426
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登録文化財を活用した地域活性化事業にかかる費用の1/2を国が補助。150807
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文化財建造物等を活用した地域活性化事業費国庫補助要項(2017)＞＞http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/kenzobutsu_katsuyo.pdf
補助対象事業は、「登録有形文化財建造物の公開活用事業」
保存活用計画の策定
登録有形文化財建造物の公開活用に資する設備（便益、展示及びこれに伴う管理に供する もの（内装を含む））の整備
登録有形文化財建造物の公開活用に資する付属施設（便益、展示及びこれに伴う管理に供 するもの）の整備
登録有形文化財建造物の公開活用の安全性確保に必要な防災設備等の整備及び耐震対策工事
【参考】登録有形文化財建造物修理事業費国庫補助要項(2020)>>http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/torokuyukei_kenzobutsu_kokkohojoyoko.pdf
