古民家再生にかかわるご依頼で非常に多いケースとして、実家や親の実家の「家」をどうするか。
兵庫県では古民家再生支援事業があり、幸いな支援策として所有者の費用負担無しで専門家を派遣してくれます。日頃専門家との付き合いのない方にはこうした制度はありがたいと聞きます。
古民家調査・再生の進め方(兵庫県の古民家再生支援事業を使う場合)
申請調査
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調査・・・簡単な間取りをとって問題点をまとめます。
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提案申請・・・調査終了したものの中から選定
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提案・・・もう少し突っ込んで調査・ヒアリング、地域に事情も調べて、使える補助等の制度を行政とも話し合って探します。今までこれで助かったと思う使いやすい補助制度は使い方にコツもあるので、提案の中で仕込んでいきます。
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独自調査・・・今まで代々引き継いできた家ですが、案外自分の家系や家歴がまとまって整理できていないことが多く、継承のプレッシャーだけで押しつぶされそうになっている方も多いです。そこで、「孫にも伝わるように」残っている有形無形の情報を整理することをお薦めしています。ただし中途半端にその時の勢いで整理(破棄)してしまうとあとで後悔しますので、時間をかける気持ちでお願いしたいものです。
家歴調査は建物調査といっしょに
地域の歴史家や研究機関、ヘリテージマネージャーなどに声をかけいろんな方の意見・知見ももらってゆったりとした気持ちで進めてください。登録文化財(建造物)調査でも最低限の家歴を調べますので、「家建物」を中心にした調査の派生調査を機に家歴や文書を整理するのも取り付きやすい方法です。
劣化調査と維持管理
建物調査をしながら、現在建物が抱えている老朽化(劣化)や不便な点など管理上手を施す必要のあるものを緊急度別に整理していきます。建物管理のトリアージです。
時には一時的・仮設的な修理も後々傷を広げないように必要になります。
緊急修理を終えたら、次の維持活用を念頭に補修計画を立てます。
本格的な活用に際して、無計画に補修すると無駄な費用が嵩むので気をつけましょう。
古い民家に不足するものは、耐震性、断熱・気密性。逆に現代建築にないものはで古い民家にあるものは、自然材料を駆使した構成、そしてほっとする空間です。これら双方をいかにブレンドできるかが古民家再生の肝となります。
活用へのステップ
家族が活用するのか、だれか事業者を探してきて建物や部屋を貸すかの大問題がはっきりしなくて四五年経ってしまったケースがほとんどです。どこかで割り切らないと計画は進まず、今までのままとなります。
古民家の存在を地域に、またWebを通じて世界中に知ってもらうことが次のステップ。
連絡窓口を整えて、交流しながらマッチングをしていきましょう。
空き家や地域振興系の補助金を使えば実費経費ぐらいはまかなえます。
少なくとも1-2年は腰を据えて対応し、そのうちにN○○○やR○○○などサブリース企画系業者の商態にマッチングトライできるかもしれません。
地元で信頼の置ける事業者が見つかることが一番いいのですが、ついこないだまで住んでいたケース以外にはなかなかハードルが高いといえます。
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在郷技能者や居住者が語り伝えてきた民家語彙を全国的な現地調査に基づき採録、表記・分類・分布地域名のほか簡明な解説を付す。『日本民家語彙集解』(’85年刊)に近世文書等から新たに673語を追補した普及版。
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