東吉野村鷲家~小川の民家群を訪問。大和八木からは桜井-宇陀松山を経由しても思いの外近い(40分)ので、よほど今まで今まで用事がなかった界隈だったんだなぁと思いながら、散策。
左:やがて吉野川に注ぐ鷲家川の流れと沿道の民家群 右:起りのない屋根の重なり
みどり濃い谷川沿いに形成された集住集落。空き家や空き地も増加の途上。お盆の夕暮れに送り火を焚きながら交わされている会話、格子の中から聞こえる家族の会話に何かしら感動しました。
和菓子屋や鮎釣の友、酒屋や和菓子屋、洋服店が並ぶ街道筋、なお奥に続く
林業を主産業とし、「小川絞」と呼ばれる杉の人造絞丸太の床柱の産地としても有名。富と文化、木使いを知り尽くした普請と全てに充満する小川ワールドを味わい、今後も何度も訪れるだろうと思った小旅になった。
奈良県東吉野村大字小川(国土地理院)
南は小【おむら】・小栗栖、北は鷲家【わしか】、西は吉野町と接する。東から西に高見川が曲流し、鷲家川が合流する。
いわゆる山村で商工業が盛んだった。地域の大半を占める山林には杉・檜が植林され木材の切出しとともに、「小川絞【しぼり】」とよばれる杉の内皮に自然の特異変質で起こると言われる細かい波模様をつくりだす「人造絞丸太」が生産される。当地の磨き丸太(和風建築で多用される内皮を艶肌のように磨いた化粧材)は光沢・木目・手ざわりにすぐれ、数寄屋建築などの床柱などに用いられる。
また集落の中心部では、村内をおもな商圏とした数店が、県道220号線など沿いに軒を並べてかつての賑わいの痕跡を残す。村役場・小川小学校・小川幼稚園・学校給食センター・小川郵便局・鷲家口駐在所・南都銀行小川支店・小川郷木材林産協同組合貯木場・村森林組合がある。
ハルトヤ峰は中世に当地方を支配した小川氏の居城跡。明治谷と鷲家谷に幕末期当地で壊滅した天誅組浪士の墓所があり、曹洞宗宝泉寺では毎年天誅組の慰霊祭を行う。ほかに、浄土真宗本願寺派乗法寺・愛宕神社・天理教三名之川【みなのがわ】分教会がある。
明治中期に絶滅したといわれる「ニホンオオカミ」の最後の捕獲地でもある。人と自然の密接さがわかる。(角川地名大辞典参照し加筆)