建築家内藤克雄の足跡2 旧西脇町消防屯所

  建築家内藤克雄の足跡1 西脇市立西脇小学校>>http://www.kazabito.com/2386
建築家内藤克雄の足跡3 旧高瀬邸>>http://www.kazabito.com/2375

建築家内藤克雄の足跡2 旧西脇町消防屯所

020408建築家内藤克雄の足跡 旧西脇町消防屯所

所在地:2002年当時 西脇市消防会館・消防団第一分団本部 西脇市西脇269

旧西脇町屯所は昭和10年(1935)建設。杉原川にかかる蓬莱橋を渡るとすぐ、三角の敷地にランドマークとなっているのが、この旧消防屯所。後に建て替えられたという火の見櫓の鉄塔を讃え持つその根元の四角い箱は、RC造の消防車格納庫を兼ねている。

主棟は間口5間9尺(11.81m)奥行き4間5尺(8.79m)の木造二階建て。外壁は建物の用途上も考慮しての防火構造というべきか、モルタル掻き落としに、白い石の洗い出し仕上げのフレームを持つ。また、建物の上部には鉢巻き状に繰り出し(蛇腹)が施され、入口にはギリシャ風の飾り破風が付く。混合様式ながら、消防屯所の権威性をデザインしているようである。

しかし、意外にも内部の執務、居室空間には畳敷きの和風の造作が施されていたようで、床柱や長押、土壁、竿縁天井がそれである。図面上、二階の「会講室」と示された部屋もまた、卍型に畳を敷き詰め、床の間、違い棚を有する和室であった。この二階の柱なしの大空間は、トラスを組んだ洋小屋で覆われている。建築構造を修めた建築家内藤克雄の本領が誇っている。

020408建築家内藤克雄の足跡 旧西脇町消防屯所

取材・図面協力 内藤建築設計事務所

2002年 兵庫県建築士会会誌つどい「兵庫探訪」連載記事 写真・文 稻上文子