大型民家の断熱・耐震再生

190912秋空

相談

庄屋格の大型の古民家です。瓦葺きで大きな土間とツシ2階があります。ツシ2階は「置土」(床上に3-5cmの厚さの土が載せてある)になっています。

夏は比較的涼しいのですが、冬の寒さに耐えられません。老後はとても住めたものではありません。今まで継承してきた親の気持ちを思うと建替えは想像できません。現代的な環境を取り入れて、かつ、この屋敷を残す方法はないでしょうか?

190527在来構法の小屋裏 土壁の家

答え

現代工法で高気密高断熱に全館空調を備えた新築住宅の魅力は済んでみるとわかります。たとえ10年でも昔の住宅には戻れなくなります。

うちの親族らの住まいで言うと、

2019年築 新築坪100万の住宅

極寒も猛暑もうそのような家中シームレスな空気環境。全館一室の心地よい空調生活がそこにあります。総二階で少し上等の石綿スレート葺きで外壁にはサイディング張り、内装はビニールクロスですが住宅設備は最新の中級品を入れています。窓が全体に小さいですが、どこもLEDで明るくしています。天井も2.7mとゆったり。★★★★★

2010年築 社会人になった甥は某大手メーカーの賃貸アパート

築10年なので勿論サッシはペア硝子。内装に豪華さはありませんが、空調一台で年中過ごせるようです。★★★★

1998年築 弟は築20年の分譲マンション住まい

サッシは残念ながら一重で機密性も低いので、窓回りがひんやりして、冬場に帰宅するとなかなか部屋が暖まりません。上下左右に部屋があるのでいくらかましですが、これからここで老後を迎えると思うと、ちょっとまずいなぁと思っているようで、今年の冬にDIYで執拗な窓回りの内窓を作りました。灯油ストーブの付けている時間がぐっと減り、また帰宅したときの「ほの暖かさ」はうれしいよ、と言っていました。★★★

さて私の家は築33年の木造住宅、公庫仕様の当時では当たり前の売り建て住宅ですが、これが寒い。床下の断熱がなかったのが当たり前の時代です。壁天井の断熱材もグラスファイバー100がやってで機密性なし。サッシも自己換気できるくらいの機密性ですので、窓際は冷え冷え。この冬DIYで発泡フォームを床下にもぐって設置。底冷えがすうっと消え失せた快適な冬でした。ちょっとの改修で満足度が高いということは、基本的な仕様がかなり低いということでもあります。★★

181026床下の後断熱 効果抜群DIY

1963年築 ここで無断熱の横綱我が実家

在来木造でコンクリート基礎で土壁の瓦葺きの家です。半分は畳敷きで、縁側と障子もあるのですが、今風にいうと冬場は野原でテント張っているような状況で、昔は、家の中で息が白くなっても何も驚くことではなかった、そんな家です。一階の夏は涼しく、エアコンは一台でOK。ただし、冬場は着ぶくれ姿で腰にカイロをつけてこたつで過ごすのが標準でした。北側の水回りはもっとひどく、流しのたまり水は朝には凍っていたのです。木製建具ですので隙間風は堂々と入ってきますし、断熱ゼロの天井から暖気は屋外にツウツウです。三年までにやっとDIYで天井裏に100㎜の断熱材を敷き込み、縁に面した障子にはツインカーボの仮設建具を建てて部屋の放熱を少し緩和しました。これで夜中の冷え込みがだいぶ違います。でも床面お冷えにはホットカーペットが欠かせず、廊下を隔てて水回りにはタイルカーペットで寒さを和らげるといった姑息な対処しかできずにいます。☆

161022伝統構法の断熱リフォーム 真綿でくるむDIY

さて相談者の家は★いくつでしょうか?対応はまず自らの現状を見定めることからです。快適な空間をイメージしつつ、次に安全について考えましょう。