旧旅館の活用と民泊

111221弥栄会館

旧旅館の活用と民泊

Q:京都花街近くに弥栄会館*(昭和11)に似た旧旅館が路地に面して建っています。古都京都の風景にはなじみませんが、いわゆる今はやりの近代建築のようです。これを利用して観光施設を考えている事業主からの依頼で建物を文化財登録した場合のメリット、デメリットを教えて下さい。

111221弥栄会館 登録文化財プレート

* 弥栄会館(昭和11築国の登録文化財)鉄骨鉄筋コンクリート造,地上5階地下1階建で,南面して建つ。各階に銅板瓦葺屋根をかけ,塔屋状の正面中央部は付庇や宝形造屋根が城郭の天守を思わせる造形で,和風意匠の伝統を巧みに織り込んでいる。設計は劇場建築を手がけた木村得三郎,施工は大林組。

2022年インバウンドターゲットの高級ホテル(帝国ホテル開業)に、2019.10.5毎日新聞によると電子版祇園に帝国ホテル2023年開業へ。絶好の観光ポイントのまさに本丸ともいえる祇園のど真ん中に立地。はんなりした、またゆっくりと時間が流れる祇園風情もまた「異質なもの」へと変異していくのでしょう。身近な「にょこうば」も遠い存在に、時代かな・・・?

文化財登録を受けるための条件

Q1:文化財登録を受けるための条件(どのような建物なら受ける事ができるのか)は?ちなみに、来歴などは不明だそうです。
A1:文化庁HPに確実な情報があります。↓
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/bunkazai_pamphlet_6_ver02.pdf
来歴などは、登録するなら、調べるしかないです。地元の方の記憶をたどって裏付けるなどでもいいです。

指定と登録は大きく違います。指定は無理ですが、見たところ登録は可能性があると思います。

文化財登録を受けるためにはどのような作業

Q2:文化財登録を受けるためにはどのような作業をしなければならないのか。
A2:実測図化と所見、関連資料の整理で裏付けが主なものです。本来そんなにたいそうなものではなく、昔はA4一枚で登録できたそうです。
京都市の文化財課に聞くのが確実です。(聞いたところ、近代化遺産調査時に漏れていたものの、内容を検討して市が調査申請しますとのことです。130627)
申請同意書は所有者名ですが、京都市の進達書が必携ですので京都市が多分申請書類などの内容を判断します。(実は文化庁にマニュアルがあります)
売り物件の場合所有者同意をどうするかは問題ですが、京都市ではよくあるケースだそうです。

登録申請の日数、費用

Q3:それに必要な日数、費用はどれくらいなのか。
A3:基本的には設計と一緒、専門家の日当で積算したらいいです。建築の確認手数料のようなものはいりません。
役所の稟議、文化庁の審議委員会がスケジュールのネックで、書類がそろってからだと、早くと半年、長くて1年-2年以上掛かります。それ以上掛かったことは今までにありません。
詳しくは、連絡下さい。(今も一件検討中ですから)>>https://www.ssl-on.com/sslform/kazabito_advice.php

登録文化財のメリット

Q4:また旅館やホテル(あるいは簡易宿泊所)をするうえで、登録を受けることのメリットとデメリットを教えていただければと思います。
A4:前の文化庁のパンフにあることのほか、広告効果を狙ってる商用利用建物は今とても多いです。
他のメリット(景観の補助金)などにつなげることができる場合があるというメリットがあります。
一方、登録文化財では、多分(行政によって違う)、指定文化財のように建基法の緩和規定を使えないので、合法建築にしないといけないです(通常の建築と同じ)。

では頑張って下さい。

111221祇園歌舞練場