大正建築の家仕舞い

相談

主人が亡くなりの主人の実家がのこっています。主人の祖父が大正の終わり頃に建てた純和風の建物です。その家で両親を看取った主人も家の整理をする間なく、病逝したため、十分その家・家族のことを知らないまま、私が相続しました。

実家の家仕舞い150423

珍木が配された庭もあり、近所でも評判の屋敷だそうです。このたび主人が亡くなって初めて建物や遺品に向かい合うことになり、今後どうしていったらいいか相談いたします。

ちなみに、私の住まいから新幹線利用でも2時間以上かかる遠方にあり、現在は月に数回、風を通しに屋敷に通っています。また遺品の中には義祖父の残した学術書や研究書類、義母の茶道具も含み多種多様なものがほとんど手つかずでのこっている状況です。

答え

雨漏りと獣害・虫害

少し長期戦になりそうですので、まずは建物全体の健康チェックをしましょう。特に雨漏りと獣害・虫害があると建物寿命が短くなってしまいます。また遺品にもよくありません。支障あることが見つかったらまずは応急処置は施して下さい。

遺品整理の専門業者や空き家管理の専門業者もいますが、家に向き合いつつゆっくり進めたいのであれば、項目をわけて手をつけやすいものから始めるのもいいかもしれません。

茶道具、美術品

たとえば、本や茶道具、美術品などは古本屋さんや骨董品屋・美術商の信用おける店を選んで来てもらって全体の印象を聞いてみるといいでしょう。専門書は大学などの研究機関に打診してみることも可能です。

また庭木や庭石についても造園業者にみてもらうことです。

ヘリテージマネージャー

建物の不動産価値は不動産屋さんで確かなところがわかりますが、築年重ねた家だと建物が建っていることで不動産価値を下げることもあるでしょう。地域のヘリテージマネージャーやNPO団体に建物調査をしてもらうことで思わぬ価値を見いだしてもらえることもありますのでご検討下さい。初見の際には建物見学を兼ねて、無償でみてもらえることも多いです。

しばらくは不要品の片付けと草引きだけでも日がとられますが、初期段階の要・不要の見通しがつけば、便利屋や整理屋、シルバー人材センターなどに頼んで、片付けることで一段落できるのでおすすめです。

 180828草引き前 空き家の雑草

「草引き」専門業者

最近の気象では年中草引きに気をとられますが、定期的に外回りだけでも整えてくれる「草引き」専門業者と契約されると安心かもしれません。

そうして大きく目処がついたら、写真や書類などプライベートな要素の濃い部分にしっかり向き合い、お子さんやお孫さんにその「家」のことを伝える方法をお考えになってください。大事な記録を損なわないようご注意下さい。

整理された後、空き家自体の解決も今後必要ですので、自治体に設置されている「空き家相談窓口」を訪ねて情報交換されるのも知らない土地での家仕舞いには心強いことと思われます。

空き家管理の例:神奈川県二宮町180914

「実家を相続したが遠方に住んでいるため管理ができない」「高齢・病気で長期入院や施設へ入所したで、空き家になった」などの理由で空き家を管理できない所有者から相談を受けたとき、町が紹介する組織が決まった。シルバー人材センターである。

手続きは、所有者はシルバー人材センターと空き家の見回りを代行してもらう契約をする。家屋の異常、庭や物置、郵便受けなども確認して状況を報告してくれる。料金は1回2,500円。所有者が庭の草取りや植木の剪定、簡易な修繕を希望する場合は別料金になるがシルバー人材センターが通常業務として受けてくれる、という仕組みです。