登録文化財になったら1>>
登録後の事実判明
登録文化財になってからも、いえ、そうなったからこそ、今までわからなかった家の歴史が少しずつわかってきます。登録文化財になるまでは話したこともない近所の人が何か知っていたり、記録をもっていたりすることで、登録候補の調査中にわからなかったこと、新しいこと、実は調査内容が違っていたりすることがわかります。
例えば、戦前の建物で数棟ある中でそれぞれの建設年代があやふやだったものが、とある記録で○○年に建ったんだ!、○○さんが建てたんだってわかることがありました。
建設年をざっくり昭和初期とまでしか特定できなかったものが、大正後期だったりするわけです。
といっても、登録原簿や文化庁の文化財データベースには「昭和初期」として記録されてしまっています。さてどうするか?
某文化財課担当者に聞いてみました。登録原簿の修正はできません。都道府県文化財課で預かりとします。指定文化財など次の手続きのあるときになら修正できます。とのことでした。
せめて文化庁の発するHPやデータベースなどの公的なものの訂正ぐらいはしてほしいものです。他の方が登録文化財の説明だから間違っているはずがないと思って時代観に間違った認識をするかも知れませんから。
登録文化財へのフォロー
登録文化財は、文化財の専門家ばかりが膨大な時間とエネルギーを掛けて調査するとは限りません。価値があることは共有できますが、個々の調査の精密さにはばらつきがあり、時には間違いや、上記のようにあとから事実が判明することが多々あります。
文化庁は柔軟に登録文化財を見守り、こうした経過に対応するべきではないでしょうか?
活用に際し、暗澹たる気持ちでご苦労されている登録文化財関係者を後方支援、いや先頭切ってフォローすべきではないでしょうか?
むかしの家に学ぶ―登録文化財からの発信―
2016/2/19畑田 耕一 (著, 編集) 最近の日本の住宅は快適のみを求め、機能的ではあるがゆとりがない。自然と共生するという日本の伝統文化が消えつつある今、残されている伝統的建造物を登録文化財という形で残し、昔の生活の合理性や工夫を学んで地域の暮らしを見直す。古い住宅を保存しながら活用し、各地で行われる多様な活動が地域の活性化にも貢献している例を紹介。
御所市名柄 民家本瓦葺きの煙出し
国登録有形文化財全国所有者の会(全国登文会)>>
1996の登録文化財の制度が発足し、2023年には13,668件以上が登録されましたが、登録でひとつの評価を得たのはいいのですが、国宝や重文、自治体指定の文化財ように、手厚い保護・補助がなく、困っている所有者が多いと聞きます。
活用を前提とする登録文化財(登文)が次のステップを踏めるようにお互いの知恵を持ち寄るそんな会ができると心強いですね。
大阪府、京都府、秋田県、愛知県、群馬県、東京都、和歌山県、三重県、神奈川県等の都府県で所有者の会があり、今後の全国への展開に尽力されています。
八尾木村家住宅 登録文化財 プレート