耐震木造技術の近現代史: 伝統木造家屋の合理性 by G-Tools |
伝統構法の建物を耐震を切り口に、近現代の先人の取り組みを詳細に解説されています。
読み込むほどに先人の執拗な安全への思いが伝わってきます。幕末から関東大震災に至る地震が続いたことが大きなきっかけでしょう。和風建物と洋風建築の考え方の違いでいろんなことが見えてきます。
「温故知新」を根底に耐震を見極めた上、最新技術で地震に立ち向かう西澤先生。現在進行形の耐震技術への思いが籠もっています。先生らしい著書としてとても楽しめました。
が、改めてぞっとしたのは、阪神淡路大震災など最近の地震の解説。どんなにしても人智にして抗せない、そんな巨大地震はすぐそこにまた忍び寄っているのですね。
耐震のポイント
- 地震時に柱を踊らせない足固め
- 上下動でホゾ抜けさせないこと
- 軸力と剛性のため柱の太さが重要
既存建物の改修にあたっては、
- 補強金物で建物の傷めないこと
- ホゾ抜けさせないこと
- 細い柱の折損
に気を付けねばなりません。
一方、現行法の木構造の概念をわかりやすく現わした本はこちらです。
今更ながら木造をどう法律で規制しているか(最低限の仕様など)がわかります。専門家に、そうでない家を建てたい人にも便利です。
楽しく分かる! 木構造入門
2018/10/28
佐藤 実 (著)
・確認申請OK≠建築基準法適合
・床から1.35mまではなぜ除く?
・見落としがちな上下階の金物整合
・プレカットでよくある間違い
・基礎の立上りは「梁」と考える
伝統的構法のための木造耐震設計法
伝統的構法のための木造耐震設計法: 石場建てを含む木造建築物の耐震設計・耐震補強マニュアル – 2019/6/7
伝統的構法木造建築物設計マニュアル編集委員会 (著)
町家・民家・寺社など伝統的構法による木造建築物を設計するには、その優れた変形性能を生かすことが重要。本書は、石場建てを含む伝統的構法の構造や設計の考え方などの基礎知識、限界耐力計算を発展させた計算法と設計手順、事例、設計資料を掲載。新築の耐震設計、改修の耐震診断・耐震補強に役立つ実践的マニュアルといえる。
目 次
■本編
1章 本マニュアルの概要
2章 一般事項
3章 荷重・外力
4章 伝統的構法の構造要素
5章 地震応答計算
6章 風圧力に対する検討
7章 部材の検討
8章 地盤および基礎の検討
9章 新築建築物の耐震設計の事例
10章 既存建築物の耐震診断・耐震補強設計の事例
11章 チェックリスト
■設計資料編
設計資料-1 材料に関する規定
設計資料-2 地震応答計算
設計資料-3 偏心と水平構面による補正
設計資料-4 各層の設計用復元力