北船井型、北山型、摂丹型、大塔・十津川型、大浦型・・・、土俵入りの型ではありません。
とても丁寧にたくさんの民家を簡潔に表現し、体系付けた本「近畿の民家」表紙裏に並ぶ近畿の間取りマップに出てくる民家間取り型です。
大正13年大阪生まれの林野先生が昭和55年に著した本、先生の意気込みが詰まっています。
この本を編むにいたったきっかけは浅野清先生が羽曳野の重文民家である吉村家の復原工事に携わった折、当時研究室の林野さんは先生と近畿の民家調査をしたことだったそうです。
調査では、「四間取り」にこだわり、近畿の文化財民家を網羅したこの研究は、出版後四十年近くたった今、また貴重な資料となっています。
意匠好きの私にはまた間取りか、とは思いましたが、民家は間取りに始まり間取りに終わる世界なのだとこれを読んで納得した次第。
まさにダーウィンの進化論のように、間取りのルーツをもとめ、時代をゆききしながら、旅をする所業です。
現在ではもう「生きた民家」はほとんどありませんが、ぜひ一読し、民家研究にはまってください。
近畿の民家―畿内を中心とする四間取り民家の研究 (1980年) by G-Tools |