【相談】
市街化調整区域での民家活用を考えています。できるでしょうか?めざすは、飲食・宿泊施設です。
【答え】市街化調整区域では、市街化を抑制するために基本的に新築行為が禁止されていることを念頭に慎重に進めてください。(用途変更も建築行為のひとつです)
例:淡河宿本陣跡【おうごじゅく】 神戸市北区淡河町淡河792-1(市街化調整区域)
【運営】 一般財団法人 淡河宿本陣跡保存会
「淡河宿本陣跡を、「淡河」という名で繋がれた人々の集う場所にしたい」と座敷・2階・厨房などをレンタルスペースとして時間帯に合わせて貸し出しています。(展示会、法事、同窓会、ワークショップ、講演会、撮影会など一室5500円/日~)
市街化調整区域の民家を飲食店にするには
まず、用途が「公益上必要な建築物又は日常生活に必要な物品の販売店等」に当たるかどうか、確認しましょう。>>詳しくは兵庫県開発許可の手引き>>市街化調整区域の許可基準
「こうべ茅葺トリセツ」茅葺民家あんしん活用ガイドライン(神戸市)2019改訂版!
地域は違っても問題点は同じです。改訂前より「市街化調整区域」への解説が増えました。何かの参考にご覧ください。
原則として、市街化調整区域で建物を建てたり、用途の変更をするには都市計画法 に基づく許可が必要です。(脱法で「おとがめ無し」も多々あるのが実態)
古民家をレストランやカフェ、アトリエ、ショップなどに活用をする場合、里づくりの拠点施設や日常利便施設の許可をとることで用途の変更ができる場合があります。神戸市なら「人と自然との共生ゾーンの指定等に関する条例」に基づく里づくり計画の中で、里づくりの推進にあたって必要となる施設なら「建築」や「用途変更」が可能とのことです。
過疎化や営農の担い手不足が起きているどの地域でも、そうした取り組みは今後も増えていくと思われますので、常にアンテナを立て、情報を得ましょう。
特別指定区域等で用途規制の緩和のある場合も含めて、市町村や土木事務所に「開発(建築)許可」がいるかどうか問い合わせしましょう。用途を変える部分の面積が50㎡までか、またはその民家の住人が経営する形態か、などによって許可の有無が違ってきますので気をつけましょう。
■都市計画法第34条
市街化調整区域に係る開発行為については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。
一 主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
■兵庫県の開発許可制度の手引より(令第 22 条第6号)
主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物で、その延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物を新築する場合においては、その延べ面積の合計。以下この条及び第 35 条において同じ。)が 50 平方メートル以内のもの(これらの業務の用に供する部分の延べ面積が全体の延べ面積の 50 パーセント以上のものに限る。)の新築の用に供する目的で当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行う開発行為で、その規模が 100 平方メートル以内であるもの。
以下のように年々規制緩和が進んでいますので、最新情報を入手されてください。
2018.3.15市街化調整区域における開発・建築許可基準を改定(神戸市の場合)
みなと街神戸、または六甲山が思い浮かぶ神戸市も北部を中心に茅葺き民家も残るのどかな市街化調整区域が広がっています。西北部の農村地域を「人と自然との共生ゾーン」とし、地域の活性化を狙った里づくり事業をさらに推進するため、市街化調整区域における開発許可基準を見直しています。地元の方でなくても新規事業が可能です。なお今後も改正がありますので常に最新情報をご確認ください。
- 10年以上生活の実態があれば、新たに取得した土地に世帯分離住宅を建築することができるように
- 建築後10年を経過した空家であれば、使用者制限を解除の可能性あり
>>http://www.city.kobe.lg.jp/business/urban/development2/kijunkaitei.html
2015.4.1兵庫県の特別指定区域制度の見直し、施行
市町又は地域のまちづくりを行っているまちづくり団体が、市街化調整区域の土地利用計画を策定し、この土地利用計画に基づき市町から申出がなされる区域を県が条例に基づき指定し、地域に必要な建築物を建築できるようにするものとする制度。ただし、芦屋市、猪名川町、高砂市、播磨町、稲美町、三木市、小野市、加西市、西脇市、加東市、太子町、たつの市、福崎町、相生市、赤穂市及び上郡町の市街化調整区域内で適用できる区域は下記です。
>>https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks29/documents/tokubetusiteikuikiseidoworiyoudekirukuiki.pdf
例えば、
- 地域活力再生等区域集落又はその周辺の地域であって、地域の活力が低下し、又はそのおそれのある区域居住者の定着又は生活の安定に資する建築物は建築できる
- 地域資源活用区域地域資源が有効に利用されていない区域地域資源の有効な利用に資する建築物は建築できる
【裏技】市街化調整区域内の「既存不適格用途」の建築物を取得して建替え
その建物が「線引き前」に建てられたものなら、ラッキーです。(線引き日=市街化調整区域に区分された日で、地域でいろいろですが概ねS45年頃)
今なら建てられないような既存不適格用途の場合(旅館や飲食店)
- 同一の用途(所有者の変更以外の建築物の変更を伴わない)であること
- 同一の敷地(敷地の拡大や開発行為を伴わない)であること
- 同一の規模(既存建築物の延床面積1.5倍以内。住宅用途は280㎡がリミット)であること
- 同一の構造(≒全体計画、構成・・・あくまで同用途の建替え)
以上の条件で、第三者が取得した場合であっても、都市計画法の許可を受けることなく建替えや増築ができます。
歴史的建造物なら昔旅籠だったり、造り酒屋だったりしているとそれを既得権に旅館・ホテルや製造所・物販業などに建替え計画できるかも知れません。
細久手宿大黒屋(旧中山道に建つ安政6年築の旅籠建築 国の登録文化財)
兵庫県内で市街化調整区域で住宅宿泊事業(民泊)をお考えの方へ>>https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf14/juutakusyukuhaku.html
兵庫県では、住居専⽤地域の営業を全⾯禁⽌とし、緊急時には25分以内で駆けつけられる管理体制などを義務付け。神⼾、⻄宮市など独⾃条例がつくれる県内5市も、同程度の規制を設けていて、実質民泊はむずかしい。